
「利回り10%」の罠。修繕費と税金で消えるキャッシュフローの正体
「利回り10%物件、ついに見つけました!」
そう意気揚々と相談に来られる投資家の方に、私はあえて冷静になっていただくことがあります。
なぜなら、不動産投資は「買った時」がゴールではないからです。
大切なのは、
所有している間にいくら手元に残るのか。
そして、最後にいくらで売却できるのか。
この「トータル収支」で考えることです。
収益物件サイトに並ぶ「表面利回り10%」という数字。
実は、その数字だけでは見えない部分に、キャッシュフロー(手残り)を大きく左右するポイントがあります。
今回は、特に注意したい3つをご紹介します。
1.表面利回りと実質利回りには「深い溝」がある
表面利回りは、一般的に
年間家賃収入 ÷ 物件価格
で計算されます。
例えば、5,000万円の物件で年間家賃収入が500万円なら、表面利回りは10%です。
しかし、実際の不動産経営では、家賃収入がそのまま手元に残るわけではありません。
固定資産税・都市計画税、管理費、清掃費、共用部分の電気代、火災保険、広告費、空室損など、さまざまな経費が発生します。
さらに築年数が経過した物件では、
外壁塗装
屋上防水
給排水設備の修繕
エアコン・給湯器などの設備交換
といった大きな修繕費が発生する可能性があります。
例えば年間家賃収入が500万円あっても、300万円の大規模修繕が発生すれば、その年の手残りは大きく減少します。
「利回り10%=毎年10%儲かる」ではありません。
ここは非常に重要なポイントです。
2.「デッドクロス」にも注意する
不動産投資で見落とされやすいのが「デッドクロス」です。
簡単にいうと、
減価償却費 < 借入金の元金返済額
となる状態です。
減価償却費は実際に現金が出ていかない経費ですが、借入金の元金返済は現金が出ていく一方で、基本的に経費にはなりません。
そのため、
「帳簿上は利益が出ている」
↓
「利益に対して税金がかかる」
↓
「しかし、実際には借入金の元金も返済している」
という状況になり、手元に残る現金が少なくなることがあります。
特に築古物件では、建物の減価償却期間が短くなるケースがあるため、購入後の減価償却費の推移もしっかり確認する必要があります。
「税引前利益」だけでなく、「税引後にいくら現金が残るのか」まで確認することが重要です。
3.最後に待っている「出口戦略」
不動産投資では、購入時の利回りだけでなく、売却時のことまで考える必要があります。
例えば、
「高利回りだから買った」
としても、いざ売却するときに、
建物が古くなっている
修繕費が増えている
空室が増えている
融資が付きにくい
周辺の人口が減少している
などの理由から、購入時に想定していた価格で売却できない可能性があります。
つまり、
購入時の利回りが高いことと、投資として成功することは同じではありません。
毎月の家賃収入だけでなく、
「5年後、10年後に誰がこの物件を買ってくれるのか?」
まで考えることが大切です。
経営者として私が重視していること
私がお客様にお伝えしているのは、
「表面利回りだけではなく、実際にいくら現金が残るのかを見ましょう」
ということです。
例えば、実質的な収益力を見る指標の一つに、
FCR(総収益率)= NOI(営業純利益)÷ 総投資額
があります。
NOIとは、家賃収入などから、固定資産税・管理費・修繕費などの運営経費を差し引いた、物件そのものが生み出す営業純利益です。
ただし、FCRにも借入金の返済や所得税などは含まれません。
そのため、実際の投資判断では、
①表面利回り
②NOI・実質利回り
③借入金返済後のキャッシュフロー
④税引後キャッシュフロー
⑤将来の修繕費
⑥売却時の価格
まで確認することが重要です。
「利回り10%」という数字だけで判断しない
高利回り物件には、それなりの理由がある場合があります。
だからこそ、
「なぜ、この物件は利回り10%なのか?」
と考えることが大切です。
利回りの数字を見るだけではなく、
「この物件を買ったら、実際にいくら残るのか?」
そして、
「最後にいくらで売れる可能性があるのか?」
まで考えて、初めて不動産投資の本当の収益性が見えてきます。
Y&Fエステートでは、収益物件についても、表面利回りだけではなく、収支や将来の売却まで考えたご相談を承っています。
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